マグロ最前線 うおまるコラム/マグロの原産地表示って・・・?

食品の多様化、消費者の食品の品質、安全性、そして健康に対する関心が高まるにつれて、一般消費者向けに販売される全ての生鮮食品については、日本農林規格(JAS)法により2000年7月1日以降に販売されるものから原産地の表示が義務付けられました。
しかしようやく最近になってBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)、偽装表示問題などで原産地表示が定着したように思えますが・・・

生鮮食品の場合、下記の4項目に該当する記載となります。

  1. 国産品は生産した水域名(太平洋、インド洋など)または地域名(養殖場が属する都道府県名)を記載する。
  2. 但し、水域名の記載が困難な場合にあっては、水揚げした港名または水揚げした港が属する都道府県名をもって水域名の記載に代えることができます。
  3. 輸入品にあっては原産国名を記載すること。
  4. 国産品も港名または水揚げした港が属する都道府県名を、輸入品は原産国名に水域名を併記することもできます。

では、卸売市場(せり場)では、どのような表示になっているのでしょか。

港名or都道府県名での表示 本マグロ生(国産)・メバチマグロ生(国産)・ キハダマグロ生(国産)
北海道(戸井)・青森(大間)・銚子・塩釜・勝浦・宮崎(油津)etc
国名での表示 本マグロ冷凍(輸入)・本マグロ蓄養生(輸入)・ミナミマグロ蓄養生(輸入)
約60カ国
県名or産地名での表示 本マグロ養殖生(国産)
沖縄・長崎・奄美・串本etc
国名or水域名での表示 ミナミマグロ生(輸入)・ミナミマグロ冷凍(輸入)・メバチマグロ生(輸入)メバチマグロ冷凍(輸入)・ キハダマグロ生(輸入)・キハダマグロ冷凍(輸入)
生や冷凍のメバチ・キハダは獲れる海域広範囲なので実際は、記載していないのが、ほとんどです。大部分が太平洋・大西洋と解釈していただいてよいと思います。

例えば、春先に捕獲させる生本マグロは、東シナ海(水域名)で捕獲されるマグロが多い。台湾漁船が自国に持ち帰れば台湾産、日本漁船がそれぞれの港、宮崎(油津)・高知(土佐清水)・和歌山(勝浦)の港に持ち帰れば、油津産・土佐産・勝浦産になるわけです。

国産の生本マグロの場合は、ほとんど水揚げした港名が多いのですが、しかし同海域で獲れて、取り扱い方、品質の技術どれをとっても台湾も日本もほとんど差異がないが、この同じようなマグロが店頭ショーケースで、「台湾産」と「勝浦産」と記載されていればどちらを購入しますか?だれだって、勝浦産を買いますよね。それが、すなわちブランドにつながるわけですから。

お客様に「これ台湾産です」といって販売しようとしたら、「えぇ・・台湾産」と買うのを躊躇されるかたも少なからず。その時は詳細に説明しますが。我々にとっては「台湾産」も「勝浦産」もそれほど違いはないのですが、なかなか消費者までにはこのような情報は伝わりません。

そのことを踏まえて原産地表示が義務づけられる以前は、卸売り業者・荷受業者が、明確に台湾と記したマグロがせり場にあってもマグロを買った仲卸業者が、同海域、同品質だからといって勝浦産といって売れば、小売業者(魚屋・量販店)には、イメージやウケはいいわけでしょう。それを知らずに小売業者は勝浦産といって消費者に販売する。消費者はブランドイメージで納得して買う。迷惑するのは消費者になるわけですよね。

また仲卸業者が、台湾産といって販売したのはいいが小売業者(魚屋・量販店)が今度は、台湾産だと売れないと言って勝浦産で売ってしまえば、これまた迷惑するのが消費者になるわけですよね。イメージでいえば「勝浦」と「台湾」牛肉でいえば「国産物」「外国物」となるわけです。

では、現在末端の小売店、スーパーでは、JAS法が遵守されているのでしょうか・・・?

マグロは、約70〜80カ国から輸入されています。ボストン、オーストラリア、スペインなどはよく知られている国名ですが、中でも生キハダマグロは、獲れる海域も広範囲のためあらゆる国から輸入されています。しかしグァム・台湾・韓国・バリ・スリランカ・パラオといった、産地としてあまり知られていない国の表示は見かけませんよね。また冷凍キハダマグロの産地が、清水・焼津・三崎だったり、「地中海産」と表示してあるが、実際は「蓄養」だったとか。

「売り側も売りたいがため」「ブランド名がほしいため」このような事態になるのでしょうが、こうなればモラルという部分に任せるしかないわけですね。消費者への情報公開がオープンになっている中、産地表示はもちろん売り側が取り組まなければならない問題ですが、消費者も原産国名やイメージにとらわれない、おいしいものを見分ける目、知識、情報を身につける必要性があるのではないでしょうか。

お問い合わせメール魚丸商店

2002.11.14

 

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