マグロ最前線 うおまるコラム/冷凍と生(なま)はどちらがおいしい?また近海まぐろと外国産まぐろは?

こういうと、たいていの人は"生(なま)"に決まっていると答えるはず。

しかし、これは非常に難しい問題で例えばここに全く同じ品質、産地の二本のマグロがあり、それぞれを生と冷凍に分けたとする。この場合、その処置になんらかの支障がない限りは、生の方がおいしいに決まっている。

冷凍技術が進歩して生と変わらないと言う意見もありますが、冷凍にすると、それが超低温の急速冷凍でも肉の組織に微妙な変化が起こるし、また解凍した場合にどうしても旨み、栄養分がドリップとなって流出する。この事から当然、この時点では生の方に軍配が上がる。しかしこれはあくまでも理想論。

生マグロといっても生本マグロ、生メバチ、生キハダなど種類はさまざまだし、生本マグロといっても近海本マグロ、外国産本マグロ、蓄養本マグロ、養殖本マグロなどがある。

漁獲方法、水温、時期よっても同じ産地でも品質に差違がある。例えば、旬が外れたコンニャクみたいな近海マグロより、山陰沖の生本マグロ、東沖の生メバチ、冷凍の脂がのったミナミマグロ、本マグロの方がおいしいし、輸入物でアメリカ大陸西岸ロスの本マグロの場合でも、日本の黒潮の北上中に枝分かれして太平洋を横断したマグロであり、近海マグロとあまり遜色がありません。

また、漁法も非常に大事で、1本釣り(1本の釣り糸で、魚を一匹ずつ獲るので取り扱い方が丁寧)と定置網・旋網(一度に大漁の獲るので取り扱い方が雑)と延縄(約100kmの広い海域にハリを仕掛ける)があるが、延縄の方が一般的に品質、味覚、価格もよいといわれる。

冷凍と言ってもこれまた産地は色々ある。例えばミナミマグロでも獲れる海域ケープタウン沖産は、品質の良いマグロが多いし、本マグロでも地中海・モロッコよりもアイルランド・ノルウェー・バンクーバーのマグロの方が脂があって良質だし、延縄の最初に獲れたまぐろと最後に獲れたマグロでは鮮度に差がある。産地の中でも全く同じ品質のマグロなどありえないわけで、一概に比べようがない。

このマグロは、冷凍かそれとも生か、また近海物かそれとも外国物かと食べ比べて分かる人が、どれくらいいるのか??? 実際疑問です。

要は知識と情報を、どこの産地のマグロであるかを購入した所でしっかりと聞き、自分の嗜好はどんなマグロなのか。そして信頼できる人、場所から購入することではないでしょうか。

そしてまた「生だから」「本マグロだから」という言葉のイメージだけを信用しないで、自分自身の目でしっかりと価格や品質も見極めることも大切です。

ただ産地や蓄養という先入観で食しない人もいるかもしれませんが、舌も十人十色で、スペイン産の蓄養にしてもだんだんマグロらしい味覚に近づいていますし、最近の若い人は、蓄養の方が脂がのっておいしいともいっております。昔からマグロを食べている年配の人は、脂がきつすぎるといって通用しませんが…

マグロといえば、万人に一番好まれる魚。もちろん寿しネタでもナンバー1はいうまでもありません。
しかし最近養殖の生マグロの出荷が非常に伸びて「生」を信奉するグルメが増えていますし、メディアなどに踊らされて舌で旨いと感じる前に情報や知識で旨いと思い込まなくてはならない状態にさせていないでしょうか。

マグロは先入観で味わうのではなく、自分の舌で味わうものだということを改めて認識してほしい。
マグロほど産地・部位によって味も値段も違う魚は他にはありません。

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